魚種ごとの反応
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
単体魚の反応が長時間にわたって映る場合は活性が低いことが多い
ボートはシーアンカーを使って約0.3ノット程度でゆっくり流しながら撮影したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。
この魚探画像を撮影したポイント(釣り場)は、前週に一つテンヤ釣法にてマダイを釣ったポイントで、短時間ながら50センチ級を筆頭に、30センチ級も数枚釣り上げることができました。翌週にも再び良い思いを味わいたく訪れた際に撮影した画像です。
しかしながら、今回は前週とは打って変わってマダイは一切釣れず、マハタ1尾のみで終わってしまいました。
魚探の右画面(周波数200キロヘルツ)に注目すると、海底から2メートルほどの高さに点が2つ並んで(1)映っています。実は2点に表現されていますが、実際には同一の単体魚である可能性が高く、その証拠に指向角が広い周波数50キロヘルツの左画面では1本の曲線(2)に表現されています。右画面で2点に分離して表現されたのは魚体に当たって反射する超音波の強度に変化があったことにより表示される単体魚の反応が途切れてしまったと考えられます。
なお、左画面(50キロヘルツ)の方では指向角が広いことと、低周波で超音波の減衰が少ないことによりいつまでも反射波を捉えることができ、数十秒間にわたって単体魚の反応が1本の曲線として表示されました。
但し、この単体魚がマダイだとすると、これだけ長時間にわたって反応が映り続けるということはあまり動き回っていないという証拠で、活性が低く、エサを追わない状況である可能性が高いといえます。
数日前に多量の雨が降ったので、水温低下により活性が低くなったのかもしれません。
水深18メートルほどの険しい岩礁地帯の大きな岩と岩の間で見かけた体長60センチ級のマダイ2尾です。一般的には潮が止まっている時よりも潮が動いている時の方が魚の活性が高く、エサを求めて摂餌行動することが多いことが知られています。
しかしながら、実際には速過ぎる潮流を苦手とする魚も存在するようです。この映像を撮影した時の潮流はとても速く、時速約3ノットで流れていました。それを避けるために一時的に私自身も潮流が緩い岩陰に避難しましたが、その際に出あったのがこの2尾のマダイです。これまでにも潮流が速い時に岩陰に退避するマダイを何度も観ており、普段広々とした海底付近や宙層でマダイを見掛けるときは大抵潮がやや緩い状況の時でした。これらの観察結果から言い切る訳にはいきませんが、マダイに関していえば速過ぎる潮流は苦手ということは、当たらずとも遠からずだと感じています。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。
ウェブサイト:気ままな「海のボート釣り」
使用機材:9型ワイド、カラー液晶GPSプロッタ魚探 型式 GP-1971F