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魚種ごとの反応

マダイを追う vol.5

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

マダイを追う vol.5 GPS魚探映像 反応からマダイを特定するのは困難だが、魚体長「70」とか「65」という数値を見ると、釣り竿を握る手にも力が入る

ボートはシーアンカーを使って約0.3ノット程度でゆっくり流しながら撮影したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深62.7メートル
  • 海底ラインがほぼフラット(平坦)だが、よく見ると細かく凸凹(デコボコ)している
  • 海底ラインから下に伸びる尾引きの長さはほぼ一定
  • 海底から15メートル以内の範囲に魚の反応が映っている
  • 魚の体長が赤字で「13」「37」「65」「70」と表示されている

魚探画像からは海底がほぼフラット(平坦)なので、一見、砂地かな?と思った人が多いのではないでしょうか?

前述しましたが、ボートをゆっくり流しているので、例え海底が凸凹した岩礁だったとしても、凸凹が表れにくく、海底ラインはほぼフラットに表現されます。

でも、よく見ると細かな凸凹が表示されています。これはボートを流している時に、ピッチング(前後方向の揺れ)とローリング(左右方向の揺れ)が発生したため、超音波で斜め方向を測深したことが原因です。つまり、魚探画面には細かな凸凹として表現されていますが、実際の海底にはこのような細かな周期の凸凹は存在しません。

さて、画面内に表示された魚の反応の近くには体長が赤い数値で示されています。もっとも大きな数値は「70」(センチメートル)。

実はこの魚探画面を撮影した日とは別の日ですが、まったく同じポイント付近で同様の反応が現れ、70センチ級のマダイがタイラバ釣法にて釣れました。海底付近に沈めたラバージグを10メートルほど巻き上げた位置にてヒットしました。

魚探画面に映し出された「70」というサイズの魚が釣り上げたマダイそのものと断定することはできません。しかしながら、画面に映し出された「70」という数値にワクワク感を覚え、諦めずに粘った結果、手にした1枚です。

  • マダイを追う vol.5 釣果写真 70センチ級のマダイ。魚探画面に映し出された魚体長「70」という数値が、釣り人のモチベーション維持にひと役買ってくれた
  • マダイを追う vol.5 水中画像 底潮が冷たい時にはマダイは海底から10メートルほど浮上した位置をキープしていることがあります

水深18メートルほどの険しい岩礁地帯の大きな岩と岩の間で見かけた体長60センチ級のマダイ2尾です。一般的には潮が止まっている時よりも潮が動いている時の方が魚の活性が高く、エサを求めて摂餌行動することが多いことが知られています。
しかしながら、実際には速過ぎる潮流を苦手とする魚も存在するようです。この映像を撮影した時の潮流はとても速く、時速約3ノットで流れていました。それを避けるために一時的に私自身も潮流が緩い岩陰に避難しましたが、その際に出あったのがこの2尾のマダイです。これまでにも潮流が速い時に岩陰に退避するマダイを何度も観ており、普段広々とした海底付近や宙層でマダイを見掛けるときは大抵潮がやや緩い状況の時でした。これらの観察結果から言い切る訳にはいきませんが、マダイに関していえば速過ぎる潮流は苦手ということは、当たらずとも遠からずだと感じています。

著者紹介

友恵丸・友恵丸II 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。

ウェブサイト:気ままな「海のボート釣り」
使用機材:9型ワイド、カラー液晶GPSプロッタ魚探 型式 GP-1971F