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魚種ごとの反応

深場 vol.2

超深場は地形図併用で

深場 vol.2 なんとか海底が分かる状態。底質までは判別不能だ

深場釣りにおける魚探の使いこなしを説明する。画面は出力600ワットの魚探のもので、深場に有利な低周波(50キロヘルツ)を使い、海中の様子を捉えたものだ。水深600メートル近い海底ラインを、辛うじてキャッチしていることが分かる。しかしながら、海底の底質を判別するための海底反応の厚さ(尾引き)がはっきり映し出されていないので、岩礁か砂泥か・・・を判断することは困難だ。実際にボートフィッシングで深場釣りをやろうとしたら、岸からポイントまでが遠いぶん移動に時間がかかったり、天候や海況の悪化で早めの撤退が求められたりして、実釣時間が短くなってしまうことなどはよくあることだ。仕掛け投入から回収までに時間がかかる深場釣りで、少しでも実釣時間を長くしようと思ったら、事前に出航海域の攻めるべきポイントの目星をつけておくことが大切になる。そのためには海上保安庁が発行する「海底地形図」「海図」が有効なアイテムになる。特に海底地形図は水深10mごとに等深線が描かれているので、水深や海底の起伏を理解するうえで重宝する。ただし海底地形図には海底の底質が表現されていないというデメリットが存在する。底質を知りたければ「海図」が必要だ。海図には岩場には「R」、砂地には「S」、砂泥地には「SM」などと記されていて重宝する。ただし、海図に示される等深線は海底地形図に較べて、大ざっぱなものとなっていて一長一短だ。

海底地形図+GPSで攻略しよう!

深場 vol.2 深場のスター、アコウダイ

両方をそろえるのは大変なので、深場釣りのポイント開拓という点で入手するなら海底地形図のほうをオススメする。底質の記載はなくても、等深線の密集度で、岩礁なのか砂なのかが有る程度予測がつくからだ。密集度が高ければ、そこは崖などの急斜面であり、底質が岩礁である可能性が高い。逆に等深線の密集度が低ければ、そこは平坦または緩やかな斜面であり、砂や泥などが堆積している可能性が高くなる。こうして事前に海底地形図で目星をつけたポイントを目指してボートを走らせることになるが、GPSをボートに装備していれば、海底地形図と合致する緯度・経度を目指せばいい。実際には大まかなポイントに到着したら、船速2~3ノットで魚探を見ながら、対象魚が生息する地形の特徴を満たすポイントを探していく。この際、ただ闇雲にボートをクネクネ方向転換させながら走らせていたら海底地形の把握はまず困難だ。コツは海岸線に対して平行とか、垂直とかいった具合に、走らせる向きを統一すること。頭の中に3次元の海底地形図をイメージしやすくなるので、ぜひ実践してほしい。ボートを走らせる上で肝心なのは、スピードを一定に保って地形を探索していくこと。スピードがバラバラだと、急斜面なのか緩斜面なのか判断できなくなるので注意してほしい。そして、ここだ!と思うポイントを見つけたらGPSに位置情報を記憶させ、そのポイント上を通過するようにボートを流していく。ここで注意したいのは、どんな急斜面の場所でも、走らせていたボートを停止させたとたん、あたかも海底がフラットであるかのような海底ラインが魚探画面に映し出されてしまう点である。深場釣りの人気ターゲット、キンメダイやアコウダイは急斜面を好むので、ポイント探しの場合には必ず一定のスピードでボートを走らせ、海底の起伏を把握したい

記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。