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魚種ごとの反応

イナダ

イナダはエサ場を探せ

イナダ アジ場に集まってきた1キロオーバーのイナダ

出世魚の代表格ブリは、モジャコ(約20センチ以下)→ワカシ(30センチ以下)→イナダ(50センチ以下)→ワラサ(70センチ以下)→ブリ(80センチ級)と成長の過程で名を変える。
7月中旬以降、各地でワカシが交じったという情報を耳にするようになり、いよいよ夏の風物詩となっている青物シーズンが到来する。

今回は釣って強烈な引きが楽しめ、食べては脂が乗ってうまいイナダ釣りにおける魚探の活用法を紹介しよう。 イナダはご存知のように群れで行動する魚で、外洋に面した潮通しのよい場所を回遊するが、大好物のカタクチイワシや小アジを追って波静かな沿岸や湾内にも入り込む。

エンジン付きボートを自身で操船して走り回れるなら、空中からカタクチイワシを探し回っているカモメの群れを探すことで、水中にてカタクチイワシを追い回す青物たちの居場所をある程度推測できる。
もちろん、カタクチイワシを追い回している魚の正体は、仕掛けを下ろしてみないと分からない。
イナダ以外にもサバやソウダガツオ、あるいはカンパチなどの可能性あるからだ。つまり、イナダだけを釣るということは困難で、青物五目のような釣りになってしまう。

仕掛けを下ろしてみたらサバが釣れ上がり、
「なんだ、イナダじゃないのか」
と決め付けてしまう人もいるが、現実には青物も1種類ではなく、数種類が混在してカタクチイワシを追っていることが多い。

1投だけで諦めるのではなく、タナや仕掛けの動かし方にバリエーションを加えるなどして、もう少し粘ってみよう。

根周りでじっくり待つのも一手

イナダ サビキで小アジを釣りながら、大物の回遊を待つ

カタクチイワシの行動に合わせてボートを操船し、ポイントを移動していくのは慌ただしくて苦手・・・。そんな人に向いた、じっくりと腰を据えてイナダを狙う方法もある。

「高根周りに浮かび、サビキ仕掛けで小アジ釣りを楽しんでいたら何かしらの大物がヒットしてハリスを切られてしまった」
そんな苦い経験をお持ちの方も少なくないと思うが、その正体は青物である可能性が高い。ヒラメなどが食ってくる可能性もあるが、夏場ならやはりイナダ、カンパチ、大サバなど青物の確率が断然高くなる。

魚探画像をご覧いただきたい。撮影ポイントは、もともと小アジを狙っていた場所だ。
ところがサビキ仕掛けがブチブチ切られるので、テンビン+クッションゴムのビシ仕掛けに変更したところ、イナダが釣れ上がったのである。

画面は2周波併記モードの状態で、画面左が周波数50キロヘルツ、右が200キロヘルツでの表示となっている。海底の凹凸が表現されるように、ボートを2ノットほどのスピードでポイント上を進めながら撮影した。
根に差しかかった付近に小アジの反応が映っているが、イナダは小アジのように根の上に留まってはいないので、群れが回遊してくれば釣れるという状況だった。
その結果、この画像を撮影したときには残念ながらイナダの大群らしき反応を捉えることができていない。
それでも夏から秋にかけての時期なら、この画像のように根の上に小アジが留まっているようなポイントでコマセを撒きつつアジを狙っていれば、高確率でイナダなどの青物が回遊してくるのでぜひとも粘っていただきたい。

また今後のためにも、イナダが釣れ上がったらその時の魚探の反応画像を確認しておこう。イナダ以外の青物が釣れたときも、反応画像特徴を把握し、今後のポイント探しや魚種判別に役立てていただきたい。

記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。