HOME 魚種ごとの反応 マアジを追う vol.12

魚種ごとの反応

マアジを追う vol.12

今回はGP-1971Fにトゥルーエコーチャープに対応した送受波器(B150M)を接続して得た探知画像を元に解説していきます。
このGPS魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

マアジを追う vol.12 魚探映像 海底付近の約3メートルの範囲を海底拡大表示することで魚群の存在と密集状況を把握しやすくなります

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深56.8メートル
  • 海底ラインが平坦に表示されている
  • 海底から約3メートルの範囲に魚群反応が映し出されている

このGPS魚探画像は、ボートの船首側に装備したiPilot(ミンコタ製)のスポットロック機能で1箇所に留まった状態で撮影(画面キャプチャー)したものです。

このチャープ方式の送受波器から発信する超音波の周波数は95キロヘルツ~155キロヘルツで、魚探画面は右側が海底から海面までを表示したもので、左側が海底追尾拡大機能で海底付近を拡大表示したものとなっています。
この日のマアジは海底から約3メートルの範囲に分布しており、その密度も比較的濃かったので魚探で魚群を捉えるのは容易なはずでした。しかしながら、釣り場の水深が60メートル近くあったので海面から海底までを表示する通常の表示画面では魚群表示の厚みが相対的に小さくなり、魚群の存在を認識しづらい状況でした。

そこで画面表示の設定を”併記海底追尾”に変更しました。この表示設定では海底の指定した範囲を拡大表示できるので海底付近の小さな反応を認識しやすくなります。
今回はコマセを使ってマアジを寄せたのですが、マアジの魚群だけでなく、カゴから流れ出るコマセも魚探で捉えることができました。
コマセ釣りでは流れ出たコマセと仕掛けのハリに付けたエサを同調させることが鉄則であり、実釣時において魚探でその状況を確認できることは大きな強みとなります。

チャープ方式は送受波器から発信する超音波が一つのパルス内で周波数を徐々に変化させ送波する方式で、魚にあたって反射し戻ってきた超音波に対してパルス圧縮処理を施すことで、パルス幅が短く、強いエネルギーの超音波を送受したのと同じ効果を得ることができます。そのため高い分解能力を有する映像が得られるという特徴があり、今回のGPS魚探画面でも海底付近のマアジの反応を拡大表示しても高い分解能力によって魚群内の密集状況を把握することができます。

  • マアジを追う vol.12 釣果写真 マアジのコマセ釣りはコマセと付けエサを同調させることが大切です
  • マアジを追う vol.12 水中画像 マアジは必ず群れで行動します

水深10メートル前後の砂地に根(岩礁)が点在するポイントに群れるマアジの映像です。よく見ると画面左側より右方向へ浮遊物が流れていることが観察できます。
これら浮遊物の中には動物性プランクトンが含まれていており、それらを求めてマアジの魚群が待機している状況です。マアジのサイズは12~15センチで、泳がせ(のませ)釣りのエサとして使用するのに丁度いいサイズのものでした。実はこの撮影の直前に私の足元に70センチ級のヒラメが居て、マアジを捕食しようと狙っていたようですが私がその存在に気づかずに近づいたために逃げ去っていきました。
この様にマアジが群れている真上にボートを停止できれば魚群探知機の画面にはマアジの魚群反応が表示され続け、時間の経過とともに画面左方向へ送られていくことで画面の横方向全体に連なった魚群反応として表示されることになります。もしマアジが回遊して立ち去るようなことがあれば反応が途切れることになります。魚が存在しないところへ仕掛けを降ろし続けることがないようボート直下の状況を常に把握する癖を付けましょう。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。