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魚種ごとの反応

マアジを追う

冬季のマアジを探す

マアジを追う 斜面上にある平根らしきわずかな起伏の周りにアジが着いていることもある。

沖釣りの基本ともいえるマアジのポイント探しを説明しよう。マアジは津軽海峡以南から東南アジア全域まで生息する温帯性の魚。沿岸にも回遊し、手軽に一年中釣れる魚として人気が高い。

大きな群れを作って行動するので、魚探にも魚群の反応が映りやすく、魚群反応と海底地形の両方からポイント探しの醍醐味を堪能できるターゲットの一つだ。

手前船頭でポイントやタナを決定しなければならないボートフィッシングでは、アジ釣りほど魚探の効果を発揮できる釣りはない…と思ってしまうほど、魚探の使いこなしが釣果を大きく左右する。

つまり「アジ釣りを制する者は、魚探を使いこなしている証拠」といっても過言ではない。
一般には水温が高い夏から秋にかけての活性が高い時期がベストシーズンだが、水温が下がるこれからの時期は釣り場の水深をやや深いほうへシフトすればよく釣れる。

というわけで冬は、ますます魚探の使いこなしが必要になってくる。浅場で狙う場合には潮通しがいい高根周りでアジらしき魚群反応を探すことが鉄則だが、深場を狙う場合にはポイントの探し方も変わる。
深くなるにつれて、高根自体の存在が少なくなるため、高根を頼りにしたポイント探しができなくなるのだ。

冬のアジ釣りはカケ上がりに注目

マアジを追う 冬場、深場のアジ釣りは良型がそろう

高根が少なくなる水深では、高根に代わって注目すべき海底地形がカケ上がり。つまり傾斜地である。平坦な海底から傾斜面に変わると、当然のことながら底潮の流れ方も変化してプランクトンなどが集まりやすくなる。それを目当てにアジも群れで集まってくる。

魚探画像はアジが釣れた実績ポイント上を2ノットほどのスピードでボートを走らせ撮影したもので、画面左が周波数50キロヘルツ、右が200キロヘルツでの表示だ。

どちらの画面にも、水深80メートルから水深60メートルにカケ上がる海底の傾斜が映し出されている。
その傾斜した海底から10メートルほど上側に魚群反応が映っているが、この反応こそがアジの反応だ。

画像はないがこの魚探画面を撮影した後、水深50メートル付近でカケ上がりは終わり、再び平坦な海底へ変化した。それと同時に、アジの魚群反応が途絶えてしまったのである。
さらに通過したルートを逆にボートを戻すと、再び傾斜地において魚群反応が出現。このときの状況においては適水温や潮流、エサの関係などで、アジは回遊せずにカケ上がり付近に留まっていたようである。

ちなみにスキューバーダイビングでアジの群れを観察すると、アジ以外にもネンブツダイやスズメダイ、サクラダイなどがアジの群れに交じりあっていることがある。
さらによく観察すると、それらの外道が群れの下側に分布し、その上側にアジが分布している傾向がある。

ボート上で見る魚探画面では「1魚種の群れ」として捉えてしまいがちになるが、実際にはいくつかの魚種で群れが形成されていることもあるのだ。
例えば、仕掛けを降ろして釣れ上がった魚が外道だったとしよう。そんなときはすぐにポイントを移動するのではなく、仕掛けのタナを変更してみるのもオススメである。

記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報

この映像は水深20メートルほどの海中で撮影したもので、ブロック漁礁周りで見かけた体長20センチ弱のマアジの群れです。画面の左側から右側へ潮が流れていることが浮遊物の動きからもおわかり頂けると思います。
この漁礁にはマアジ以外にも多くの魚種が集まってきており、その代表格がネンブツダイになります。マアジがブロック漁礁から2~3メートル上側へ離れたところに群れているのに対し、ネンブツダイは漁礁にまとわりつく様に群れています。
ボート上から魚探画面でこの状況を確認すると、マアジとネンブツダイの群れを分離できないことが多くあります。サビキ仕掛けを降下させて、オモリ着底と同時に食ってくるネンブツダイを鈴なりに釣り上げ、「なんだ、マアジの群れじゃなかったんだ!」と言って、ポイントを移動してしまうことがあります。
そうする前に仕掛けを降下させるタナを数メートル上で止めてみましょう。先ほどとは違ってマアジが鈴なりに釣れ上がることもよくあります

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。