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魚種ごとの反応

マアジを追う vol.11

今回はGP-1971Fにトゥルーエコーチャープに対応した送受波器(B150M)を接続して得た探知画像を元に解説していきます。
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

マアジを追う vol.11 魚探映像 エコー色拡張機能では海底ギリギリの魚群と海底を明確に識別できます

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深60.4メートル
  • 海底から約3メートルの範囲に魚群反応が映し出されている
  • Aスコープによりボート直下の魚群が確認できる

この魚探画像は、マアジ釣りの最中に撮影(画面キャプチャー)したもので、ボートコントロールはスバンカーを張ってのエンジン流しを行ないました。

チャープ用送受波器から発信する超音波は一つのパルス内で周波数を徐々に変化させ、一定の周期毎に送波するものとなっています。このチャープ波が魚によって反射し送受波器に戻ってきたエコーに対してパルス圧縮処理を施すことで、パルス幅が短く、強いエネルギーの超音波を送受したのと同じ効果を得ることができるため、高い分解能力を有する魚探画面を得ることが可能となります。

今回の魚探画面では海底から上、約3メートルの範囲内に映っている魚群反応がマアジですが、水深が約60メートルあるのに対して魚群反応の厚さが3メートル程度と薄いので通常の画面表示では魚群がとても薄く表現されるので魚群が認識しづらくなります。また海底ギリギリに存在する魚群なので、魚群だと気づくことができずに魚群を海底の起伏だと判断ミスするケースも考えられます。判断ミスを防ぐためにおススメしたいのがシフト機能で、現在見ている範囲をそのまま上下方向に移動させ、必要な部分のみを画面の縦方向に広げる表示可能な機能です。

今回のマアジ釣りでは海底付近の魚群に注目したかったのでシフト機能を使って水深45メートルから海底までの範囲を画面の縦方向いっぱいに表示しました。
また画面表示にはエコー色拡張機能を設定したのでチャープの高分解能と相まって繊細な色彩表現を実現しています。

従来、海底ギリギリのところに密度の高い魚群が存在すると、その魚群と海底を画面上では同じ色で表現するケースがあり、使用者が魚群を海底起伏と誤って判断することもありました。この様な状況においてもエコー色拡張機能を設定することで魚群と海底が明確な色の違いとして表現されるので、魚群を海底起伏などと誤って判断することも無くなります。

この日の潮汐は画面に表示したタイドグラフにある様に午前中は下げ潮、午後は上げ潮となる状況でした。午前中はマアジらしき魚群が見つかるものの活性が低くて苦戦しましたが、午後になって上げ潮が効き始めるとマアジの活性が上がり、バタバタと20~30センチ級のマアジが釣れ盛りました。
表示のシフト機能、そしてエコー色拡張機能は海底付近を泳ぐマアジ狙いにおいて大変有効な機能となります。

  • マアジを追う vol.11 釣果写真 釣って楽しく、食べても美味しい良型のマアジ
  • マアジを追う vol.11 水中画像 海底付近を泳ぐ良型のマアジの群れ

水深10メートル前後の砂地に根(岩礁)が点在するポイントに群れるマアジの映像です。よく見ると画面左側より右方向へ浮遊物が流れていることが観察できます。
これら浮遊物の中には動物性プランクトンが含まれていており、それらを求めてマアジの魚群が待機している状況です。マアジのサイズは12~15センチで、泳がせ(のませ)釣りのエサとして使用するのに丁度いいサイズのものでした。実はこの撮影の直前に私の足元に70センチ級のヒラメが居て、マアジを捕食しようと狙っていたようですが私がその存在に気づかずに近づいたために逃げ去っていきました。
この様にマアジが群れている真上にボートを停止できれば魚群探知機の画面にはマアジの魚群反応が表示され続け、時間の経過とともに画面左方向へ送られていくことで画面の横方向全体に連なった魚群反応として表示されることになります。もしマアジが回遊して立ち去るようなことがあれば反応が途切れることになります。魚が存在しないところへ仕掛けを降ろし続けることがないようボート直下の状況を常に把握する癖を付けましょう。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。