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魚種ごとの反応

マダイを追う vol.10

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

マダイを追う vol.10 GPS魚探映像 ラバージグの動き(リトリーブとフォール)も軌跡としてバッチリ映っている

風が弱く、潮流も緩やかだったので、ボートはドテラ流しによって0.5ノット以下でゆっくり流れました。
魚探から発信する超音波の周波数は200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深35.7メートル
  • 海底底質はSAND(砂)、MUD(泥) 、RCKS(岩)、などめまぐるしく変化している
  • 海底がフラット(平坦)ではなく、高低差が5メートルほどある
  • 海底付近から宙層にかけて魚の反応が映っている

この画面はGP-1870Fにてキャプチャー(撮影)したもので、50キロヘルツと200キロヘルツの2周波機ですが、この時はあえて1周波のみの表示で使用しました。
その理由はディスプレイの横幅を活かし、水中景観の変化を継続して目で追って行きたかったためです。

このポイントではタイラバ釣法にて80センチ級のマダイを釣り上げることができました。
流し始めの時点ではアキュフィッシュ機能により「39」(センチ)という単体魚の反応が在ったものの、その他にはとりたててマダイを推測させるような情報(反応表示)が見当たりませんでした。
それでもこのポイントにボートを流したのは、マダイが好んで棲息しそうな好条件が揃っていたためです。

たとえば、海底に注目すると砂、泥、岩と底質に変化があり、根(岩礁)の高さに注目すると高低差が5メートル前後で険し過ぎない適度な高さの根だったためです。
そして付近一帯の水深がタイラバ釣法にて釣りやすい35~40メートルだったこともこのポイントを選んだ理由の一つです。

ドテラ流しを始めて3分ほど経過した後、宙層に「67」「92」という単体魚の反応が現れ、もしかしたら大ダイかも・・・と、一気にモチベーションが上がり、興奮しました。
そして数分後にヒットしたのが画像にある80センチ級の大ダイです。

むろん、魚探に映った「67」「92」という単体魚の反応が釣り上げたマダイそのものだと言い切ることはできません。
しかしながら、表示された「67」「92」という数字によって私自身のモチベーションが上がったのは事実であり、アタリが出にくい状況においてはモチベーションの維持や向上も結果に繋げるための大きなアドバンテージと考えます。
底質判別機能とアキュフィッシュ機能を使いこなすことで夢の大ダイゲットに近づけるかもしれません。

  • マダイを追う vol.10 釣果写真 5分間のヤリトリの末、ようやくゲットできた大ダイ。タモ取りする手が振えた
  • マダイを追う vol.10 水中画像 水中を泳ぐ大ダイには王者としての風格が感じられた

水深20メートル前後の根際の砂地で撮影したマダイです。サイズは70センチ級で、単独で行動していました。
この映像の撮影時は海底から3メートルほど上を泳いでいました。ダイビングで目にするマダイで最も多いタナがこの海底から3メートルほど上であり、これだけ海底から離れていれば魚群探知機でも捉えやすくなります。もちろん水深や魚探の能力、そしてマダイの泳ぐ速さによって映り方の差異は生じます。むろんマダイの遊泳層は捕食対象(甲殻類、小魚、イカ類など)がどのタナにあるか、また水温によっても変わります。またこの映像には写っていませんが、自然界にはこのマダイと同様の遊泳層の魚も数多く存在します。魚探画面に表示された反応から魚種を判別するには実釣と反応画像の照合経験を積み、推察の精度を高めていくしか方法がありません。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。