魚種ごとの反応
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
イサキの反応は高根から少し離れているのが特徴。群れのタナを正確に掴み、その水深よりも上にエサが漂うように演出しましょう
ボートは約2ノット(人間が歩くほど)のスピードで進めながら撮影したもので、画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。
この釣り場で釣れた魚はイサキです。イサキは水中画像にもあるように群れを形成して泳ぐ魚です。
1年中狙うことができますが、産卵のために浅場に回遊してくる6~7月が一年で最も釣りやすい時期となります。潮通しのいい岩礁帯(根)周りに集まるので魚探を使って、高根とその付近に映る魚群反応を探します。
イサキの反応は根から上へ数メートル離れているのが特徴です。根にまとわり付くような反応は別の魚種、たとえばスズメダイやネンブツダイ等である可能性か高くなります。
イサキ釣り自体は大して難しいものではありませんが、釣り場の潮流次第で釣果が左右されるといっても過言ではないほど、イサキの活性は潮流の有無によって変化します。
イサキは潮が動いている時しかエサを追おうとはしません。潮が止まっているときは、エサをほとんど追いません。ここでいっている潮流というのは干潮や満潮といった潮汐による潮の動きのことではなく、イサキが生息するポイントにおける海底付近の潮流そのもののことを言っています。海中の潮流が止まっているような状況の時にはたとえ魚探に明確な魚群反応が映っていてもアタリが一向に届かないという状況になります。
逆に、魚探に魚群反応が映ったり消えたりを繰り返すような時は、海中の潮流に逆らいながらイサキがエサを活発に追っている可能性が高く、むしろチャンスといえるでしょう。反応が映っているから釣れるという訳ではなく、反応の映り方によって魚の活性を見分けられるようになったら、効率がいい釣りが可能になります。
2020年7月に本動画ギャラリーにて紹介した「イサキ vol.2」ではイサキの群れの特徴として海底から約1メートルほど離れて回遊することに注目し、魚探に映った魚群反応からイサキを特定するためにはその約1メートルの高さが大切な手掛かりになると具体的な水中映像と解説文にて紹介しました。
過去に何度も私自身がスキューバーダイビングで観察・確認した上での発言だったのですが、その傾向を覆す映像を撮影することができたので今回「イサキ vol.3」として紹介します。イサキの群れが回遊する際に海底ギリギリのところを泳ぎながら移動している様子が映っています。過去には海底の根(岩礁)にまとわり付くような魚群反応は”イサキではなくネンブツダイやスズメダイの可能性が高い”とも述べてきましたが、この映像を見るかぎり、一概にそう言い切れないことが判明しました。そして海底ギリギリのところを泳ぐ場合においても思いのほか速い移動が可能であることもわかりました。今後も過去に紹介した内容と異なる事実が判明した場合には随時紹介していこうと思います。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。
ウェブサイト:気ままな「海のボート釣り」
使用機材:9型ワイド、カラー液晶GPSプロッタ魚探 型式 GP-1971F