HOME 魚種ごとの反応 マルイカ(ケンサキイカ) vol.1

魚種ごとの反応

マルイカ(ケンサキイカ) vol.1

マルイカ(ケンサキイカ)について

マルイカ(ケンサキイカ) vol.1 小アジの魚群から少し離れた位置に、マルイカが潜んでいた。

地域にもよるが、マルイカ(ケンサキイカの幼体)は春から秋までが主な釣期だ。季節に伴う水温変化とともに生息場所を変え、春先は水深80メートル付近、初夏は水深30メートル付近、そして盛夏は水深10メートル以内のごく浅場まで回ってくる。

夏場にスキューバダイビングで潜水すると、水深20メートル前後の岩礁帯でマルイカを見かける。胴長10センチ前後の小型を主体に、比較的大きな群れを形成していることが多い。砂地でも時々マルイカを見かけるが、岩礁周りに比べると群れは小さめで、5~6杯で泳いでいたりする。そして不思議なことに、岩礁であれ砂地であれ、比較的少数で行動しているマルイカは良型が主体だ。個体の大きさと群れの大きさには何かしらの因果関係があるのかもしれない。ボートフィッシングで気楽にマルイカを狙うなら、岩礁帯の周辺に大きく群れている小型を狙ったほうが釣れる確立が高く、数も期待できておすすめだ。

また、ボートコントロールで一番手軽なのはアンカリングしてボートを止めて釣る方法。ただし、マルイカが集まる好ポイントを探し、そのポイントの真上にボートを止めることが最も重要な課題になる。魚探画面を見つつ、「ここだ!」と思う場所に仕掛けを投入し、次々にマルイカが乗ってくるようならアンカーロープの長さを調節してボートをピンポイント上にきっちり止めたい。一方、明確なポイントが見つからない場合は、高根からだらだら続く平根や、砂地に根が点在するようなエリアを流しながら探ってみよう。1杯でも乗ったら、山ダテやGPSで位置を記録してアンカリングする。

夏場は小魚が集まる浅い根周りを探す

マルイカ(ケンサキイカ) vol.1 浅場に寄ってくる梅雨時は、ボートで手軽にマルイカが狙えるチャンス!

マルイカに限らず、どのイカにも共通していえることだが、イカには浮き袋がなく、体そのものが海水の密度に近いため魚群探知機に反応として映らないケースも多い。では、前段に記した「ここだ!」と感じるポイントを、どうやって見つけだせばいいのか?以下、その一例を挙げてみよう。

例えば、夏の浅場に群れるマルイカ狙いでは、まず根周りの小魚を探す。大好物のひとつである小魚が集まる根周りはイカを含めたフィッシュイーターたちの捕食エリアだ。もう一つ、マルイカが根周りに集まりやすい理由がある。天敵の青物類が増える夏から秋にかけては、小魚たちと同様、自分の身を守るために隠れやすい障害物の周りに寄り添うと思われるのだ。

画像はマルイカが実際に釣れた直後に撮影した魚探画面で、表示は2周波併記モードの状態。左が周波数50キロヘルツ、右が200キロヘルツである。このポイントのすぐ隣り、距離にして7~8メートルの位置に浮かんでいた別のボートは、サビキ仕掛けに小アジを鈴なりに掛けていた。根の頂上付近に映っている濃い反応は、その小アジと考えられる。マルイカが乗ったのはこの根に差しかかる手前であり、その辺りに映る反応がマルイカ、もしくはマルイカが捕食するベイトフィッシュと推察される。そこでGPSを見ながらボートを潮回りさせ、再び同じ根の手前で仕掛けを下ろすと案の定、またマルイカが乗った。このときは上潮が流れていて、ボートはポイント上をすぐに通過してしまう状況。それでも潮回りしてポイント上に入るたびにマルイカが乗ってきたことから、その群れは獲物を待ち伏せするような感じで1カ所にとどまっていたらしい。

マルイカはこんなイカ

マルイカ(ケンサキイカ) vol.1

実は”マルイカ”というのは関東地方の釣人からの愛称で、”ケンサキイカ”が標準和名です。小型のものはずんぐり丸みを帯びた体型なのでマルイカと呼ばれていますが、他にも地域によって様々な呼び名があり、メトイカ、ジンドウイカ、ダルマイカ、シロイカなどと呼ばれているのは、皆このケンサキイカのことです。

東日本以南に分布し、比較的浅場で狙えることもあってイカ釣りの入門的ターゲットの役割も果たし、更に、甘く柔らかな身が抜群に旨いことから、近年、人気急上昇のターゲットとなっています。

記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。