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魚種ごとの反応

アオリイカを追う vol.7

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

アオリイカを追う vol.7:魚探画像 一見フラットに見える海底ですが、よく見ると周期的ではない凸凹が存在していることに気づきます

この魚探画像は、風と潮流に任せてボートを流すいわゆるドテラ流しの最中に撮影(画面キャプチャー)したものです。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深18.1メートル
  • 海底底質は岩から礫へ変化した
  • 海底から約2メートルの範囲内に単体魚の反応がある

画面に船速を表示していませんが時速0.3ノットくらいでボートが流れたのでティップラン釣法にてアオリイカを狙いました。
流しているポイントの特徴としては海底底質が岩または礫(小石)で、多少の海底起伏があるものの船速が遅いので画面上には海底ラインが概ねフラット(平坦)に表示されています。
それでも海底ラインをよく確認するとわずかに凸凹しており、それが周期的ではないことからもボートの揺れによって凸凹に表示されたものではなく、実際の海底起伏を表現したものだと判断できます。

海底から約2メートルの範囲内には単体魚の反応が複数映し出されていますが、これがアオリイカである確率は低いと考えられます。
というのも、アオリイカは他のイカと同様に浮袋を持つ多くの魚よりも魚探では捉えにくいからです。
イカ類で魚探に捉えやすいケースとしては群れを構成する数が多く、その密度が濃い場合であり、具体的にはスルメイカやヤリイカ、ケンサキイカとなります。

アオリイカは比較的浅場にも分布し、群れを形成しますが、前述したイカよりも数も密度も薄いので魚探で捉えるのは難しく、例え捉えたとしても画面から他の魚と判別するのは困難となります。
但し、棲息場所には概ね特徴があるので、そのポイントを外さなければ、仕留められる確率は上がります。
魚探画面にあるように海底底質が岩や礫の場所、あるいは砂地に根が点在するような場所で、いざという時に外敵から身を隠すことができるような岩礁や海藻類が生えている場所となります。

また、この魚探画像のように海底付近にベイトフィッシュになりそうな魚群や単体魚が存在することも大切でアオリイカがヒットするポイントにおいては多くの場合、海底付近にこのような反応が表示されています。
通常のバーチカル(縦)の釣りでは仕掛けがボート直下付近を狙うことになるので、魚探でチェックすべきところはボート直下の最新情報が表示される画面の右側部分となりますが、ティップラン釣法ではボート直下を狙うわけではないので注目すべきところが異なります。
ティップラン釣法では、ボートが流れることでラインが斜めに入った方向のエギの存在する場所を狙うことになるので、画面右端から左側へ表示が動いた過去情報部分を参考にする必要があり、より厳密にいうならラインの斜め具合に対応した部分をチェックする必要があり、そのあたりをチェックしながら釣ると根掛かりも防止しやすくなるのと、釣れたではなく、釣ったを実感できると思います。

スキューバダイビングでアオリイカの行動を観察すると、行動範囲が広く、一箇所に留まっていないことにも驚かされます。外敵から身を守るためなのか? あるいは捕食対象を探し求めて移動しているのか? あるいは快適な水温を求めて移動しているのか? さだかではありませんが、過去の実績ポイントを攻めても必ずしも釣果が上がるとはかぎらないので、そのあたりの難しさも含め、仕留めた時の喜びが大きくなる魅力的なターゲットです。
この時期、沿岸部の比較的浅い水深でも狙うことのできるアオリイカ、釣って楽しく、食べて美味しい極上のイカなので、是非ともこの機会に魚群探知機を使いこなしてチャレンジしてみてください。

  • アオリイカを追う vol.7 釣果写真 秋から冬にかけては食べて美味しい1キログラム未満のアオリイカが主体となります
  • アオリイカを追う vol.7 水中画像 海底から5メートルの範囲内に700グラム前後のアオリイカが5ハイほど泳いでいました

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。