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魚種ごとの反応

アオリイカを追う vol.2

秋のアオリイカ狙い ~その2~

アオリイカを追う vol.2 根周りはアオリイカの隠れ家でもある。付近へイワシが回れば捕食開始。

陸っぱりのアオリイカ狙いでは、堤防に残された墨跡から実績ポイントを見つけ出すことができる。対してそんな痕跡が残らない海上では、自身で直接、アオリイカが生息する場所を探し出す以外に方法がない。
基本的に1杯釣れれば、その付近を集中的に狙うことで追釣することができる。その1杯めを釣るために、広範囲を探ってアオリイカの居場所をつきとめなければならない。

小型主体の秋口から晩秋へ向かうにつれ、次第に中型が多く交じるようになる。それでもまだアオリイカは外敵から身を隠すことができる海藻が生えた平根、ゴロタ石周り、根際などに生息している。

魚探でそのような場所を探すわけだが、魚探から発振する超音波の指向角が広い(主として低周波)と、広範囲の情報を捉える反面、表示される海中情報はボートの真下以外の余分な情報が多くなる。水中を推測する際に誤解が生じやすいので注意が必要だ。
とくに指向角の範囲内に少数の独立した高根が存在する場合や、海底が傾斜している場合には、魚探に映し出される海底ラインが1本の明確な線として表示されないことがある。例えば、

  • 海底ラインがぼやける。
  • 複数の線が、複雑に交差するように表現される。

これらの原因は、複雑な海底起伏や傾斜などによってわずかな時間差で超音波がセンサーに戻ったものを、画面上に表現してしまうためである。

ボートの真下以外の情報を表現しすぎていることに他ならず、アオリイカが好む海藻を映し出したものではないので要注意だ。
指向角の狭い高周波でよく見て、真下の海底状況を的確に把握していただきたい。

宙層から上層にもアオリイカはいる

アオリイカを追う vol.2 上層に群れていた小さなアオリイカ

もう一つ、幸いなことに11月いっぱいまでは、アオリも水深15メートルまでの比較的浅場に多く分布している。さらにこれから海中の透明度がよくなるので、魚探がなくてもある程度ポイントを推測できる。

ボート上から見て海底部分が明るく白っぽく見える部分が砂地で、黒っぽく見える部分が岩礁帯。この岩礁帯と砂地の境目付近が好ポイントだ。
海面の乱反射を除去するように偏光グラスを使用すれば、より一層海中の様子を把握しやすくなるのでオススメだ。

アオリイカはどんな釣法で狙うにしても海底付近を攻めたくなってしまうが、スキューバダイビングで実際に潜ってみると、海底付近以外にも宙層から上層にかけて泳いでいる姿をみかける(右下の画像参照)。とくに秋は、上層付近に小型のアオリイカを多数みかける。

エサになるイワシなどの小魚が回遊しているから上層付近にいるのか?海面のギラギラ反射に身を隠し、宙層や下層にいる外敵から存在を気づかれないようにするためなのか?定かではないが、下層で釣れない場合には思い切って上層を狙ってみても損はない。

魚探画面はアオリイカを釣った実績ポイントの上を、人間が歩く程度の速さ(2~3ノット)でボートを進めて撮影したもの。画面左が周波数50キロヘルツ、右が200キロヘルツによる表示となっている。
どちらの周波数の表示にも右側に岩礁帯が映っている。その高さは隣接する砂地に対して約5メートル。砂地から岩礁帯に差し掛かった上層から宙層に魚群反応が映っている。このような状況のときは、海底付近だけを狙うのではなく、上層~宙層も丹念に攻めてみたい。

記事:小野信昭さん 協力:隔週刊つり情報

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。