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魚種ごとの反応

ヤリイカを追う vol.4

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

ヤリイカを追う vol.4 GPS魚探映像 海底拡大機能は海底付近に分布するヤリイカを捉えるには好都合。Aスコープと併用してヤリイカとボートの位置関係を把握します

スパンカーによるエンジン流しにて時速0.2ノットのスピードで流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、画面左側から低周波(50キロヘルツ)での海底拡大機能画面、通常画面、そして右端がAスコープとなっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深140メートル
  • 海底には高低差20メートル位の起伏が存在する
  • 海底から10メートルの範囲に淡い魚群反応が映っている
  • Aスコープには魚群反応が映っていない

ヤリイカの身体の密度は水に近いことから超音波を反射しにくく、他の魚に比べると魚群探知機ではその姿を捉えるのは難しいのが実状です。
特に水深100メートル以深に分布する時期では海底付近のヤリイカからの微弱な反射波を捉えるには魚探使用のテクニックが求められます。

テクニックとしては、発信する超音波は減衰が少ない低周波(50kHz)をセレクトし、感度はマニュアル(手動)調整、そして画面は海底拡大機能の併記というテクニックがあります。
通常の使用時は感度調整をオート(自動)にセットしておけば、魚探が最適な状態にて画面表示してくれますが、深場のイカの場合にはマニュアル(手動)がオススメです。

ヤリイカを捉えたい一心で感度を上げると、かえってヤリイカの反応表示がノイズに埋もれて分別しづらくなるので注意が必要です。特に超音波の減衰が高周波に比べて少ない低周波では深場の探知に有利となる反面、指向角(捉えやすい範囲)が広くなるので他船から発信される超音波と干渉しやすくなります。
海底拡大機能は海底付近の反応表示を切り出し、縦(水深)方向に拡大して表示するので海底付近に分布するヤリイカの反応を見つけやすくなります。

なお、前述したのは主に魚探の設定に関するものですが、実釣時にはまた別のテクニックを要します。
低周波は指向角が広い分、魚探で反応を捉えていてもボートの真下にはヤリイカが存在していないケースも考えられます。(説明図参照)

今回の魚探画面画像のように海底拡大画面や通常画面でヤリイカらしき反応を捉えていてもAスコープでは捉えていないケースではヤリイカがボート直下に居ないことになります。
またAスコープでヤリイカを捉えている場合においても、ヤリイカ仕掛けを降下していく過程で潮流の影響によって斜め方向に仕掛けが下りて行ってしまうとヤリイカの元へは届かないことにもなり釣果に結びつかなくなります。
つまり、ヤリイカを釣るためには反応の上にボートを停めること、ヤリイカの元へ仕掛けを降下させること、この2点が不可欠となります。

  • ヤリイカを追う vol.4 【説明図】低周波は減衰が少なく、深場の釣りでは有利となるが、指向角が大きいので例え魚群反応を捉えていてもその魚群がボート直下に存在するとはかぎらない
  • ヤリイカを追う vol.4 釣果写真 美しい釣りたてのヤリイカです。新鮮なヤリイカは極上の食材となります

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。