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魚種ごとの反応

ヒラメを追う vol.3

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

ヒラメを追う vol.3 GPS魚探映像 アキュフィッシュ機能による単体魚の体長表示は背後に映る魚群反応によって、より正確な数値判断が可能になります

当日はほぼ無風でボートは潮流のみの影響を受けながらボートをゆっくり(0.2ノット程度)流しながらキャプチャー(撮影)したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • ボート直下の水深は16.5メートルで、水深変化が少ない
  • 海底はフラット(平坦)ではなく、わずかな凸凹が存在する
  • 底質がMUD(泥)、SAND(砂)、GRVL(小石)と入り乱れている
  • 宙層(水面下3~12メートル)に魚群がある

この釣り場ではサビキ仕掛けにより15センチ弱のカタクチイワシが鈴なりに釣れ、それを活きエサとして泳がせることで、ヒラメを釣りました。

宙層の魚群反応の中にはアキュフィッシュ機能により単体魚の体長が表現されていて、その数値の多くは「20」~「30」となっています。

アキュフィッシュ機能は魚体内にある浮き袋の大きさから単体魚の体長を算出しますが、この画像のように魚群が密集しているとたとえ小さな魚でも大きな単体魚が存在するものと判断し、実際よりも大きな数値を表示することがあります。このように密集した魚群反応の中に表示された数値を読み取る際には最も小さな数値を読み取るのが正解です。この画像における最も小さな数値は「14」ですが、実際に釣り上げたカタクチイワシのサイズとピッタリ一致しました。

ちなみに、小魚の魚群反応の中に青物やマダイが捕食活動のために突っ込み、アキュフィッシュ機能により大きな数値として表現される場合には、魚群反応が一様に分布するのではなく反応の密度に大きな差異が存在したり、反応が急に割れたり、途絶えたり、とにかく反応が不規則な形に表現されるので大きな数値の信憑性を判別する上で有効な指針となります。

さて、話をヒラメ釣りに戻しましょう。泳がせ釣りでヒラメを狙う場合にはハリに付けた活きエサ(今回はカタクチイワシ)をヒラメが待機している海底付近に沈めるのが一般的ですが、この画像のように宙層にベイト(エサとなる小魚)が泳いでいる場合には、タナ取りもやや高めに設定します。魚群の下端から数メートル下げたタナが理想です。

とはいえ、宙層のベイトも回遊しているので常にボート直下に居るわけではありません。魚探画面を見ながら、ベイトが回遊してきたらタナを上げ、ベイトが通過して居なくなったらタナを下げる…という小まめなタナ取りがヒラメ狙いでの釣果を伸ばすテクニックのひとつです。

  • ヒラメを追う vol.3 釣果写真 冬期のヒラメは「寒鮃」といって、脂が乗り最高に美味しく召し上がれる高級魚です
  • ヒラメを追う vol.3 水中画像 ヒラメは通常、海底に這って待機し、捕食の際に浮上します

大きな根(岩礁)のてっぺん部分の潮上側の端部に陣取っている60センチ級のヒラメの映像です。画面左側が潮上側で、よく見ると潮がこの根に当たることで上昇している様子がプランクトンや浮遊物の動きによって観察でき、ホンソメワケベラがそれらを摂餌している様子も写っています。
このようにたくさんのプランクトンを含んだ潮がこの根に当たることで根の潮上側にはプランクトンが滞留しやすくなり、それらを求めて小魚類も根の潮上側に集まります。さらにその小魚類を捕食しようとヒラメや青物などのフィッシュイーターも集まります。青物の場合には小魚を積極果敢に追い回すのですが、ヒラメの場合には海底や岩の上に這いつくばって身を隠し、小魚が摂餌距離内に入り込んで来たときに突然襲い掛かります。

著者紹介

友恵丸・友恵丸II 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。

ウェブサイト:気ままな「海のボート釣り」
使用機材:9型ワイド、カラー液晶GPSプロッタ魚探 型式 GP-1971F