魚種ごとの反応
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?
宙層のカタクチイワシの反応が途中で途切れているのは青物等の外敵が襲い掛かることで群れが一時的に散ったことだと推測できる。
この魚探画面は、スパンカーで風を受け、舳先を風上に向けたままドテラ流しを行ないながら撮影(画面キャプチャー)したものです。魚探から発信する超音波の周波数は50キロヘルツと200キロヘルツで、それぞれ画面の左側と右側に示してあります
この日はジギングで青物を狙うためにボートを浮かべました。
実釣するためのポイント選定では青物そのものを探すのではなくベイトフィッシュ(捕食対象となる小魚)を探すのが一般的ですが、この日は海面を見渡してもナブラやトリヤマを発見できず苦戦しました。
このような状況での次なる一手は魚探を使って宙層や下層のベイトフィッシュを探すことになります。
ベイトフィッシュの中でも小アジや小イサキなら潮通しのいい高根周りに集まりやすいので比較的容易に発見できます。
しかしながら、小アジや小イサキよりももっと青物たちから好まれるイワシ類については高根周りに集まりやすいというわけではなく、宙層の魚群を発見するにはボートで走り回るしか方法がありません。むろん、ソナーを装備していれば効率よく探すことができるのですが。
ボートを走らせながら宙層のイワシ類を探すには船速を上げて広範囲を探りたいのですが、実際には泡噛みやエンジンノイズ等の影響もあって船速を上げるにも限界があります。
この日は船速6ノットくらいでボートを走らせながら宙層に映るイワシらしき魚群反応を発見しました。
たとえイワシ類の魚群を発見できたとしても、イワシ自体が回遊するのと、ボートも流れていくのでその両者が重なった時にしかなかなか釣果が得られないのですが、この時は停船後にエンジンを停止し、イワシにプレッシャーを与えないようにすることで約10分間にわたってボートの直下にイワシに居座ってもらうことができ、その間にワラサ2本とイナダ1本仕留めることができました。
青物に追われているベイトフィッシュはボート直下に居座ることなど稀であり、ほとんどの場合が2~3分で移動して行ってしまうことになるのでその場合には、再度群れを探し回る必要がありますが、その際にはAスコープ表示部分における反応の有無から判断すると間違いはないでしょう。
キビナゴの群れの近くに現れたブリの群れの映像です。サイズは50センチ級であり、関東ではイナダ、関西ではハマチと呼ばれるものです。
ブリは主に小魚やイカ類を捕食しますが、今回は捕食行動を確認することができませんでした。ブリが既に満腹だったのか? あるいは近くにダイバーが存在していたので警戒したのか?・・・捕食しなかった理由は不明です。
一方、キビナゴの群れは泳ぎ方が不規則で、大慌てしているように見えました。ブリが捕食行動しなくても、近くに存在しているだけでキビナゴにとっては大きなプレッシャーになっているのかもしれません。そういった意味でもブリへのアプローチ方法として魚群探知機を活用するにはキビナゴ等のベイトフィッシュとなりうる小魚の群れが不規則な動き方をしていたり、群れの密集度にムラがあるような状況をチェックすることが大切です。
FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター
北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。