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魚種ごとの反応

タチウオを追う vol.4

今回はGP-1971Fにトゥルーエコーチャープに対応した送受波器(B150M)を接続して得た探知画像を元に解説していきます。
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

タチウオを追う vol.4 魚探映像 チャープ方式ではタチウオの魚群に対しても単体魚の集合体として分離表示できています

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深67.5メートル
  • 宙層に魚群反応がある
  • 宙層に複数の魚群反応が映し出されている
  • Aスコープによりボート直下の魚群が確認できる

この魚探画像は、スパンカーを張って舳先を風上側へ向け、推進力を調整することでラインが立つようにボートを潮流に乗せて流し、タチウオを狙っている時に撮影(画面キャプチャー)したものです。

チャープ用送受波器から発信する超音波は一つのパルス内で周波数を徐々に変化させ、一定の周期毎に送波するものとなっています。
このチャープ波が魚によって反射し送受波器に戻ってきたエコーに対してパルス圧縮処理を施すことで、パルス幅が短く、強いエネルギーの超音波を送受したのと同じ効果を得ることができるため、高い分解能力を有する魚探画面を得ることが可能となります。

タチウオを例に紹介すると、この高い分解能力によってタチウオを群れとして捉えるだけではなく、単体魚としても捉えることが可能となります。
画面左寄りの位置の宙層に映し出されている魚群反応は実釣にてその正体がタチウオであることを確認しましたが、その魚群反応は複数の単体魚反応の集合体として表示されていることがわかります。

画面右側に表示されている魚群反応では一見単体魚に分離できていないようにも見えますが、これは群れの密度が濃いために反応表示がつぶれ、このような表示になっています。
従来からの主流となっている単一周波数(50キロヘルツや200キロヘルツ)でのパルス波による探知結果ではタチウオの魚群は明確に映っても、魚群が雲のように塗りつぶされがちだったのでタチウオとタチウオが追っているベイトフィッシュを判別することはかなり経験を積む必要がありました。
チャープ方式ではタチウオを単体魚として表示できるだけでなく、ゲイン調整を手動でやや高めに設定することで映りにくいベイトフィッシュも表示可能となるので、タチウオと分離して認識しやすくなります。

タチウオ釣りではタチウオが泳ぐタナに仕掛けを合わせられるかどうかが最重要課題であり、エサやルアーの動きはその次の課題となります。
魚探画面を確認してボートをタチウオの反応の真上に停め、さらに反応がもっとも濃くタチウオが密集するタナを把握し、そこに仕掛けを合せることが効率よく釣果を上げるテクニックとなります。

今回、タチウオ釣りにおいてはチャープ方式の送受波器を使用することのメリットを実感することができましたが、これが他の釣りものに対しても必ず有効だとは言い切れません。
従来の単一周波の魚探なら魚体長を表示するアキュフィッシュ機能や海底底質判別機能などが使えるなど、それぞれにメリット、デメリットがあるので、今後は釣りものごとに両者を試しながら、適材適所を見極めていきたいと思います。

  • タチウオを追う vol.4 釣果画像 魚探にてタチウオの泳ぐタナを正確に把握することが釣果への近道となります
  • タチウオを追う vol.4 釣果画像 体長120センチを超えるタチウオはドラゴンとも呼ばれ、その引きは強烈です

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。