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魚種ごとの反応

ヒラメを追う vol.8

今回はFCV-800にCW(連続波)タイプの送受波器(525-5PWD)とチャープタイプの送受波器(B150M)を同時に接続して得た探知画像を元に解説していきます。
この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

ヒラメを追う vol.8 GPS魚探映像 魚探画面ではヒラメそのものをキャッチするのは困難なので、ヒラメが好んで捕食する対象魚を探します

この魚探画像は、船首に装備したエレキモーター(IPILOT)によってボートを定点保持した状態で撮影(画面キャプチャー)したものです。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深24.7メートル
  • 海底底質はSAND(砂)とGRVL(小石)が混在している
  • 海底から約5メートルの範囲に魚群反応が存在する

通常ヒラメは海底に這っているので、魚群探知機でその存在をキャッチするのは困難です。捕食のために海底から浮上した場合はキャッチできますがその場合でも反応表示からヒラメを判別するのは難しいのが実状です。以上のような理由からヒラメのポイント探しは、魚探を使ってヒラメが棲息しているであろう水深と海底底質、そしてヒラメが捕食するであろうエサを見つけ、付近にヒラメが居るに違いない・・・と推測するレベルのポイント決定とならざるを得ません。

今回の魚探画面は一見、海底地形に凸凹がなくフラット(平坦)に見えますが、これはボートを定点保持していることに起因します。底質判別機能では時間の経過とともに砂→小石→砂と判別結果が変化していますが、これは砂と小石が混在していることと定点保持したボートも僅かながら位置が動くことに起因します。

海底から約5メートルの範囲に映っている魚群がアジであることは実釣にて確認しました。アジは群れで行動する魚で、その遊泳層は下層から上層まで、その時々で変化します。アジの捕食対象となるシラス(カタクチイワシの幼魚)やプランクトン類がどのタナに分布しているかによってそれを追うアジの遊泳層も変化します。
但し、ヒラメが狙うアジは主に下層(海底付近)に群れているアジであり、この魚探画面のようにアジの群れが下層に分布している時はそれらを狙ってヒラメが付近の海底に這って隠れている確率が一段と高くなります。

今回はまずはじめにアジを釣り、その活きたアジをエサとして泳がせ釣りにてヒラメに挑みました。
仕掛けのハリに付けた活きアジを海中に沈める際には、実在するアジの群れに紛れ込ませることが大切で、常に魚探画面でアジの群れのタナをチェックし、同調させるように活きアジのタナを調節します。なお、泳がせ釣りではヒラメからの前アタリが届いても合わせず、喰い込みによる本アタリが届くまでは合わせは厳禁です。

  • ヒラメを追う vol.8 釣果写真 ヒラメが居ると信じて釣り糸を垂らし、狙い通りにゲットできた時は喜びが一段と大きなものとなる
  • ヒラメを追う vol.8 釣果写真 泳がせ釣りにてヒラメを狙うための確保したアジとそれで仕留めたヒラメ

海底の砂に似た色、模様に擬態している60センチ級のヒラメの映像です。映像の左上には捕食の対象となる小魚類(キンメモドキ)が群れており、タイミングをみて襲い掛かる瞬間をとらえています。
海底に這った状態から襲いかかるので、勢いをつけるために身体の縁側部分(背ビレ、腹ビレ)をくねらせるので捕食の予兆がわかります。しかしながら、襲いかかるスピードが速く、カメラで追うことができなかったので実際に小魚の捕食に成功したのかは残念ながら不明です。ヒラメは海底に這っているので魚探で捉えるのが困難ですが、捕食対象となる小魚類が群れている場所を探すことでその近くにもヒラメが存在しているという推測のもと、棲息ポイントをある程度絞り込むことができます。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。