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魚種ごとの反応

ヒラマサを追う vol.4

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

ヒラマサを追う vol.4 GPS魚探映像 アキュフィッシュ機能による魚体長の数値表示はルアーサイズの選定時の重要な指針となることがある

この画像はボートを船速時速0.6ノット程度で流しながら撮影(画面キャプチャ―)したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深14.5メートル
  • 海底底質はRCKS(岩)で、地形は概ねフラット(平坦)
  • 宙層に魚群反応が映っている
  • アキュフィッシュ機能により「100」「87」という数値表示がある

この時、ボートを流した場所の海底底質は岩だったのですが、海底起伏が少ないいわゆる平根エリアでした。近くには高根のような海底起伏が存在しないので、宙層に映っている魚群反応は居つきの魚ではなく、時々現れては泳ぎ去っていくような回遊性の魚であることが推測できます。
この魚群反応の後には単体魚の反応が現れ、そのサイズがアキュフィッシュ機能により「100」「87」と表示されています。推測になりますが、魚群に狙いを定めて今にも襲い掛かろうとしている大型魚が存在すると考え、実釣スタート準備。

ボートが流れてきた潮上に向けてメタルジグをキャストし、ワンピッチジャークにてジグに動きを与えて大型魚にアピールします。
なお、宙層の魚群部分にもアキュフィッシュ機能により魚体長サイズの数値が画面上に多数表示されていますが、小さな魚であっても密集度合いによって大きな単体魚が存在するかのように誤って判断して数値表現する場合がある ので、このような反応画像の時には一番小さな数値を信用するといいでしょう。この画像の場合には魚群部分に「101」「80」「75」「45」「24」などと数値表現されていますが、小さい数値である「24」を信用すべきでしょう。

ジャークのストロークやリトリーブの速さなどを変化させながらバイト誘発させようと試みますが一向にノーバイト。
そこでこれまで使用していた8センチのジグからサイズの大きなジグへの変更を決意。
アキュフィッシュ機能による数値に近づけようと約20センチのセミロングジグに変更した途端に画像にあるヒラマサがヒット。
ジグのサイズ変更が決定打となったとは言い切れませんが、少なくとも私自身がジグのサイズアップをはかろうと思ったのはアキュフィッシュ機能による魚体長サイズの数値であり、ジグ選択の一つの指針となったことは事実です。

  • ヒラマサを追う vol.4 水中画像 ヒラマサの遊泳層は海底付近から海面までと広く、ベイトフィッシュの遊泳層に対応している
  • ヒラマサを追う vol.4 釣果写真 50センチ程度の小型のヒラマサだが、ライトタックルでのジギングではその引きを存分に楽しむことができる

高根周りに群れているイサキの幼魚を求めて1尾のヒラマサが捕食行動している映像です。ヒラマサは浅い海に生息する魚で、好んで捕食する小魚(イワシ、アジ、イサキ、サバなど)が沿岸部に接岸している時には陸からでも狙うことのできる大型魚ということで夢のある人気のターゲットとなっています。
撮影したポイントは外洋に面した潮通しのいい水深22メートルの砂地に高さ約8メートルでそびえ立つ高根周りでした。高根の潮が当たる側には潮によって運ばれてきたプランクトンが滞留し、それらを求めて小魚が集まるので、それを目当てにヒラマサ等の大型魚も格好のエサ場として集まります。とはいえ、この映像のようにヒラマサが単独で捕食行動している時には捕食に苦労している姿をよく見掛けます。何度襲い掛かっても小魚に逃げ切られてしまうような状況です。ジギングでヒラマサを狙う際には、スローなジャーク(しゃくり)が有効なことがあることとも関係しているのかもしれません。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。