HOME 魚種ごとの反応 ヒラマサを追う vol.3

魚種ごとの反応

ヒラマサを追う vol.3

GPS魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

ヒラマサを追う vol.3 GPS魚探映像 魚探では海底地形やベイトフィッシュの反応を確認するだけでなく、大型単体魚の存在もチェックする

ボートは、スパンカーにて風を受け、潮流の中でもラインが立ちやすくなるように推進力を調整しながら船速約1ノットにて潮上から潮下に向けて流しました。魚探から発信する超音波の周波数は200キロヘルツで海中を探知した反応画像を画面撮影(画面キャプチャー)したものです。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深26.3メートル
  • 海底底質はMUD(泥)からRCKS(岩)へ変化した
  • 根の上部には魚群反応がある
  • 魚群反応の周辺には単体魚の反応がある

人間のスポーツ選手が食欲旺盛であることと同じように、水中にて運動量が多い大型青物はそのエネルギー源を確保するために好物の小魚を大量に捕食します。

ダイビングでヒラマサの捕食行動を観察すると、特定の魚種を好んで捕食しているような傾向が見受けられます。具体的にはイワシ類やアジ類、イサキ、タカベをベイトフィッシュとして追い回しているケースが多く、いずれの魚についても共通にいえることは単独では行動せず群れを形成しているという点になります。捕食する際に相手が群れを形成していると襲いやすいということがあるのだと思います。
これらのベイトフィッシュは我々ボートアングラーにとっても居場所を見つけるうえで有難く、魚群探知機で捉えやすいものとなります。

ヒラマサ自体は魚体サイズが大きいのですが、泳ぐスピードが速く超音波の指向範囲内を一瞬で通過するので反応を捉えにくくなります。また、大型のものほど単独あるいは少ない数の群れで行動するのでますます反射波を捉えにくいことにも繋がります。
一方、高速で回遊する魚でも、ブリのように群に含まれる個体数が多い魚の場合には魚探で反応を捉えるのは比較的容易となります。

ベイトフィッシュがイワシ類の場合にはヒラマサに追い回され、表層へ浮上するケースも多く、その場合にはボート上から海面のナブラを見つけることができます。同時に空からイワシ類をねらうトリの存在も有効な手掛かりとなります。
その他のベイトフィッシュ(アジ、イサキ、タカベ等)の場合、日中は表層まで浮上することがないので、魚探にて水中での存在を探す必要があり、潮通しのいい高根周りが有力候補地となります。
もし、その付近にポツポツとした単体魚の反応が現れたらヒラマサ等の大型青物の存在を知らせるサインなのでチャンスとなります。
単体魚の魚体サイズを表示するアキュフィッシュ機能を備えた魚探を使用中ならアングラーのモチベーションが一気に上がる瞬間です。

  • ヒラマサを追う vol.3 釣果写真 ジギングにてゲットしたヒラマサ。活きエサによる泳がせ釣りでも狙うことができ、いずれの釣法でもベイトフィッシュの存在が鍵を握る
  • ヒラマサを追う vol.3 水中画像 潮通しのいい高根周りに集まる小型のイサキに襲い掛かっているヒラマサ

高根周りに群れているイサキの幼魚を求めて1尾のヒラマサが捕食行動している映像です。ヒラマサは浅い海に生息する魚で、好んで捕食する小魚(イワシ、アジ、イサキ、サバなど)が沿岸部に接岸している時には陸からでも狙うことのできる大型魚ということで夢のある人気のターゲットとなっています。
撮影したポイントは外洋に面した潮通しのいい水深22メートルの砂地に高さ約8メートルでそびえ立つ高根周りでした。高根の潮が当たる側には潮によって運ばれてきたプランクトンが滞留し、それらを求めて小魚が集まるので、それを目当てにヒラマサ等の大型魚も格好のエサ場として集まります。とはいえ、この映像のようにヒラマサが単独で捕食行動している時には捕食に苦労している姿をよく見掛けます。何度襲い掛かっても小魚に逃げ切られてしまうような状況です。ジギングでヒラマサを狙う際には、スローなジャーク(しゃくり)が有効なことがあることとも関係しているのかもしれません。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。