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魚種ごとの反応

キジハタを追う

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

キジハタを追う 魚探映像 岩礁と岩礁の間に在る砂地がポイント探しの一つのカギになると考えられます

ボートは風と潮に任せてゆっくり流しながら撮影(画面キャプチャー)したもので、魚探画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深24メートル
  • 海底底質はRCKS(岩)、SAND(砂)、MUD(泥)、RCKS(岩)と変化している
  • 高さ5メートルほどの岩礁と岩礁の間に砂泥地が存在する

この魚探画像はラバージグを使ったいわゆるタイラバ釣法にてキジハタを掛けた釣り場にて撮影(キャプチャー)したものです。

キジハタ(標準和名)は日本海や瀬戸内海の浅場の岩礁帯付近に棲息するハタで、西日本では標準和名よりも「アコウ」という呼び名で知れ渡っている魚です。フグに勝るとも劣らない非常に美味しい魚であり、特に大阪では人気の高級魚として扱われています。
関東の海にも棲息していますが、日本海や瀬戸内海ほど魚影が濃い訳ではないので、美味しい魚であっても見掛ける機会が少なく、あまり知られていないのが実状です。
但し、スキューバダイビングで海中へ潜ってみるとその姿を見つけることができます。

分布数が多いカサゴ類が険しい岩礁帯を好んで棲息するのに対し、キジハタは岩礁のみのエリアよりも砂泥地に岩礁が点在するような場所を好んでいます。それはキジハタに限ったことではなく、ハタ類全般にいえることかもしれません。
捕食する対象としては岩礁帯付近に集まる小魚やエビ、カニなどの甲殻類であり、これらに関してはカサゴ類と類似しており、必然的に釣り方まで似てくるのでハタ類とカサゴ類の釣り分けがなかなか難しいものとなっています。

しかしながら、前述したような、棲息場所が僅かに異なることを考慮してボートを流せば、少しは釣り分けが可能になるかもしれません。
活きた小魚をエサとする泳がせ釣り(のませ釣り)、エビ類をエサとする一つテンヤ、ルアーフィッシング等さまざまな釣法にて狙えるキジハタですが、実釣時は仕掛け類の根掛かりに注意が必要です。
釣り人は根掛かりにて仕掛け類が回収できなくなると、”ロスト”という一言で片づけてしまいがちですが、結果的には海中に仕掛け類を投棄していることと同じです。
そうならないためにも、そして少しでも根掛かりを未然に防ぐためにも、実釣時における海底底質および海底ラインのこまめなチェックが必要であり、ここでも魚探の使いこなしが求められます。

  • キジハタを追う 釣果画像 キジ(鳥類)のような斑紋が全身にあるのがキジハタの特徴ですが、この模様にも個体差がかなりあります
  • キジハタを追う 水中画像 ダイビングでは険しい岩礁帯よりもむしろ岩礁と岩礁の間の砂地にて見掛けます

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。