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魚探の仕組み

探知角度と探知できる範囲

船底の送受波器から発射する超音波は、自艇の真下方向へ集中して送出します。送受波器には独自の指向特性、すなわち超音波を発射する際のビーム特性があります。この指向特性いかんによって海中における水中探知能力は大きく左右されます。指向特性が決まる一番大きな要素は、送受波器の周波数です。送受信する超音波周波数によってほぼその指向特性(探知角度)が決まります。

プレジャーボートで使用する魚探の周波数は、ほとんどの場合、50キロヘルツ(低周波という)と200キロヘルツ(高周波という)です。50キロヘルツの探知角度は広く、200キロヘルツは狭くなります。メーカーやその商品によって少し異なりますが、探知角度を数値で表すと、前者は50度前後、後者は15度前後です。この条件で海中を探知した場合、探知範囲は図のようになります。50キロヘルツの低周波は一度に広範囲を探知でき、高周波は逆に狭い範囲を探知します。高低周波数にはそれぞれメリットがありますので、アングラーはその特性を利用して魚群を探します。

この特性を活用した魚探活用例として、漁船などでは次のような使い方をしています。まず、広範囲を探知する低周波(15キロヘルツなど)で魚群の存在を確認します。低周波では自船の真下、やや前方、やや左右方向まで広い範囲の魚群探知ができるため、ざっくりと魚群の存在を確認します。ただ、このままでは自艇の下に魚群がいるかどうか分かりませんから、次に探知角度の狭い高周波(200キロヘルツ)を使って細かく魚群反応を探り、目的魚群が自船の真下にくるように操船します。

探知角度と周波数の関係

使用する周波数により、探知できる範囲が決まります。低周波の50キロヘルツでは広範囲を探知できますが、高周波の200キロヘルツでは狭い範囲を絞り込んで探知できます。

指向特性のはなし

少し専門的になりますが、送受波器の指向特性について簡単に紹介しましょう。送受波器の内部には、振動子という素子が組み込まれています。この振動子に電気信号を与えることにより振動子がふるえて海中へ超音波を発射します。超音波をどの程度集中して発射できるかはこの送受波器がもつ独自の指向特性で決まります。右図の上端にあるのが送受波器でその下に伸びる房状のカーブが超音波の信号発射強度を示しています。もちろん中心線上の軸上が一番強く、左右方向にずれるほど弱くなります。送受波器を基点としてもっとも強い信号(真下のところ)のちょうど半分になる位置(左右に2箇所あり)を結んだ角度が指向角となります。半減全角で50度とか15度というように表現します。

著者紹介

マリンギアライター 須磨 はじめ さん

神戸市須磨区在住

「ボートフィッシング」では、「すぐに役立つ電子機器解説」の連載を持つ。
著書:「電波航法機器」「電波機器と超音波機器」「魚探・GPS100%使いこなしブック」他