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魚探の仕組み

微弱な魚群からの反射波

船底の送受波器から発射された超音波は、船底から真下に向けて真っ直ぐ進んでゆきます。しかも、エネルギーは徐々に拡散しながら進みます。途中、魚群やプランクトン層などがあると、それらによって超音波は反射されます。魚体や魚群の形状などにより反射するパターンは異なりますが、いずれにしても魚群に当たった超音波はあらゆる方向に向けて反射します。その反射波の一部分はそのまま自船の船底まで返ってきます。百メートルぐらいの海底深度であれば、魚群からの反射波より海底からの反射波が一番強く返ってきます。

魚群で反射した超音波は、拡散しながら返ってくるので、極めて弱い信号になっています。この微弱な魚群反射信号を船底に設置してある送受波器の振動子面でキャッチし、魚探本体へ送り込みます。魚探の送受波器は小さなものです。プレジャーボート用のそれは、直径がわずか7センチとか大きくても10センチメートル程度です。海底方向に向けたその小さな受波面で海中からのあらゆる反射信号をとらえるわけです。たいへんなのは海中にはたくさんの雑音があることです。しかも、水分からできている魚体から反射してくる信号は実に微弱です。海中の汚れ、気泡、プランクトンなどからの不要な反射信号の中から魚群信号をとらえます。特に、海面付近にはいろいろな雑音源があるので、時として、ゴチャゴチャとした映像の中から魚群反応が現れることもあります。このようなときは雑音を消去するためのいろいろな機能が使えるようになっています。

微弱な魚体からの反射波

超音波は、大体魚の背中に当たりますが、その当たる角度によって反射角が決まります。この反射信号は微弱なものです。反射された信号はまた拡散しながら海面方向へ進み、そのほんの一部分の超微弱な反射信号を船底の送受波器がとらえます。実にシビアな動作です。

著者紹介

マリンギアライター 須磨 はじめ さん

神戸市須磨区在住

「ボートフィッシング」では、「すぐに役立つ電子機器解説」の連載を持つ。
著書:「電波航法機器」「電波機器と超音波機器」「魚探・GPS100%使いこなしブック」他