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魚種ごとの反応

マダイを追う vol.7

この魚探画像からどんなことが解り、どんなことが推測できますか?

マダイを追う vol.7 GPS魚探映像 単体魚の反応が長時間にわたって映る場合は活性が低いことが多い

ボートはシーアンカーを使って約0.3ノット程度でゆっくり流しながら撮影したもので、魚探から発信する超音波の周波数は画面左側が周波数の50キロヘルツ、右が200キロヘルツで海中を探知した反応画像となっています。

この画像からは以下のような情報が得られます

  • 水深35.1メートル
  • 海底ラインは、凸凹(デコボコ)していて高低差は2メートルほど
  • 海底から2~3メートルの範囲に単体魚や魚群の反応が映っている

この魚探画像を撮影したポイント(釣り場)は、前週に一つテンヤ釣法にてマダイを釣ったポイントで、短時間ながら50センチ級を筆頭に、30センチ級も数枚釣り上げることができました。翌週にも再び良い思いを味わいたく訪れた際に撮影した画像です。

しかしながら、今回は前週とは打って変わってマダイは一切釣れず、マハタ1尾のみで終わってしまいました。

魚探の右画面(周波数200キロヘルツ)に注目すると、海底から2メートルほどの高さに点が2つ並んで(1)映っています。実は2点に表現されていますが、実際には同一の単体魚である可能性が高く、その証拠に指向角が広い周波数50キロヘルツの左画面では1本の曲線(2)に表現されています。右画面で2点に分離して表現されたのは魚体に当たって反射する超音波の強度に変化があったことにより表示される単体魚の反応が途切れてしまったと考えられます。

なお、左画面(50キロヘルツ)の方では指向角が広いことと、低周波で超音波の減衰が少ないことによりいつまでも反射波を捉えることができ、数十秒間にわたって単体魚の反応が1本の曲線として表示されました。

但し、この単体魚がマダイだとすると、これだけ長時間にわたって反応が映り続けるということはあまり動き回っていないという証拠で、活性が低く、エサを追わない状況である可能性が高いといえます。

数日前に多量の雨が降ったので、水温低下により活性が低くなったのかもしれません。

  • マダイを追う vol.7 釣果写真 短時間で釣ることのできた50センチ級と30センチ級のマダイ
  • マダイを追う vol.7 水中画像 1週間違いで同一ポイントを狙ったが、マダイは釣れず、マハタのみだった

水深20メートル前後の根際の砂地で撮影したマダイです。サイズは70センチ級で、単独で行動していました。
この映像の撮影時は海底から3メートルほど上を泳いでいました。ダイビングで目にするマダイで最も多いタナがこの海底から3メートルほど上であり、これだけ海底から離れていれば魚群探知機でも捉えやすくなります。もちろん水深や魚探の能力、そしてマダイの泳ぐ速さによって映り方の差異は生じます。むろんマダイの遊泳層は捕食対象(甲殻類、小魚、イカ類など)がどのタナにあるか、また水温によっても変わります。またこの映像には写っていませんが、自然界にはこのマダイと同様の遊泳層の魚も数多く存在します。魚探画面に表示された反応から魚種を判別するには実釣と反応画像の照合経験を積み、推察の精度を高めていくしか方法がありません。

著者紹介

友恵丸・友恵丸III 船長 小野 信昭 さん

FURUNOフィールドテスター / DAIWAフィールドテスター / 月刊ボート倶楽部ライター

北は北海道から南は沖縄まで全国を飛び回りボートフィッシングを楽しむアングラー。スキューバーダイビングも経験豊富で、水中を知った上で行なう魚探の解説には定評があり、各地で行なうボートフィッシング講習も人気が高い。また、ボートフィッシングにおける安全面やルール、マナーの啓発にも力を入れており、自身が開設するウェブサイトやボート関連雑誌で古くから呼びかけている。著書「必釣の極意」、共著「魚探大研究」。